相続放棄のお話しに具体的に入る前に、相続の基本的な考えかたをご説明しておきます。
〈1〉相続人は、故人のプラスの資産も、マイナスの資産も受け継ぐ
相続人は、故人のプラスの資産も、マイナスの資産も受け継ぎます。
このため、多額の預金や高額の不動産があったとしても、故人に借金があった場合には、相続人は借金も相続します。
例えば、故人が生前に、他人の連帯保証人になっていることもあるかもしれません。その場合には、その連帯保証に基づく債務についても、相続人は相続してしまうことになります。
故人がなくなった場合、マイナスの資産、つまり借金や債務を引き継いでしまうことを十分に留意してください。
〈2〉相続人は、法律で誰がなるのかが決まっている
相続人は、民法という法律で、誰に相続人の資格があるのかが決められています。そして、どの程度の割合で遺産を受け継ぐかも決まっています。この民法で決まった遺産を受け継ぐ割合のことを、「法定相続分」といいます。
よくある相続のケースとしては、故人に配偶者(故人の夫または妻)と子がいる場合ですが、その場合は、配偶者(故人の夫または妻)が2分の1、その子が2分の1の法定相続分を有する相続人となります。
例えば、旦那さんがなくなられて、奥さんと子ども2人(長男、長女)がいるご家庭の場合には、以下のようなかたちで相続分を有します。
①妻 2分の1
②長男 4分の1(=2分の1×2分の1)
③長女 4分の1(=2分の1×2分の1)